「あ・・・また今度ゆっくり聞かせて下さい。そろそろ、ヨハンたちを起こした方が良いだろうし・・・」
オレは露骨に話の腰を折って断った。
「ぐすん・・・。先生、しょんぼりにゃー・・・」
先生はまだまだ喋りたそうだったが、朝食前にもかかわらず、なんだかお腹一杯な感じだし。
また今度、機会があれば・・・。
オレはヨハンとユベルを起こし、今日は四人で食事を囲んだ。
結局・・・先生は昨日も夜までヨハンのマンションに残り、ヨハンの身世話を焼いていた。
洗濯や掃除・・・次々にテキパキと進める姿に見た目とのギャップを感じずにはいられなかった。
「さてと、洗濯物はこれだけかにゃ?」
「あ、洗濯終わったら次はボクの洋服のボタン付け替えてよ、大徳寺」
「分かったにゃ〜」
驚いた事に、ヨハンもユベルも先生が世話をしてくれる事に全く遠慮がなかった。
かなり仲良く関わっているように感じた。
個性的な大徳寺先生。
オレとは一日だけの関わりだったが強烈な印象が残り、先生が居なくなった今日はなんとなく、寂しいような気が・・・。
ちょっと遅めの朝食を三人で囲いながらオレはそんな事を考えていると、玄関からインターホンが鳴った。
「げっ・・・」
「もしかして・・・」
先生・・・?
誰もがそう思った。
ヨハンはいそいそと玄関に向かい、ユベルはもくもくとトーストを口に運ぶ。
「おはようございますにゃ〜!」
やっぱり・・・。
先生のすぐ後ろではヨハンが呆れた顔で頭を掻いていた。
「先生は気付いてしまったのにゃ。ヨハン君がお休みだと、私もあまり仕事がないんだなって」
ユベルは先生と目も合わさずに食事を淡々と続けている。
招かざる客人・・・?
なんだか間の悪い人だな。
食事を終え、オレは先生と二人で食器の後片付けをすると、食器を洗っている最中に先生がオレに話し掛けてくる。
「十代くーん・・・、先生今、苦しい想いを抱えちゃってるのにゃー。聞いてくれるかにゃ、先生の悩み」
悩み・・・か・・・。
この人、話止まらないし・・・。
どうしよう。
聞く
聞かない